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主演の寺島しのぶがベルリン国際映画祭で受賞した作品で、それもあって京都シネマで見た。
ところどころに挟み込まれる農村の風景も叙情的で美しい。 しかし、どこかこの映画の世界に入り込んでいけない。 戦争のむごたらしさや当事者達の哀しみや憤りがストレートに響いてこない。 どこか昔のATG系映画を思わせる理屈っぽさに馴染めなかった。 クレジットにはなかったが、原作は江戸川乱歩の「芋虫」であることは間違いない。 キャタピラーは英語で芋虫を意味する。 原作では、四肢のない主人公が這いずって夜の野井戸に身を投げるさまが、まるで芋虫が蠢くように見えたとおぞましく描かれている。 ただ、おそらく乱歩はこの小説を反戦の思いで書いたわけではないのだろう。 それは読んでみるとわかるのだが、そこに反戦の強い主張は感じられない。 彼は、ただ単にサディスティックでグロテスクな世界の極みを耽美的に描きたかっただけなのだと思う。 ちなみに、彼の妻はこの小説を「何て気持ちの悪い」と評したという。 しかし、軍部は当然のようにこの作品を、いたずらに戦争を忌避させると禁止処分にする。 この時期、おかげで乱歩は筆を折らざるを得なかった。 当事者の意図や心情がどうであろうと、それが意に染まぬとなればどんなことをしても抹殺にかかる。 それが権力が持つ本性だろう。 そちらの方がずっとおぞましい。
by anculucinema
| 2014-08-27 09:59
| 邦画
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