フォロー中のブログ
カテゴリ
最新の記事
以前の記事
2023年 12月 2023年 09月 2023年 06月 2022年 09月 2022年 05月 2022年 03月 2021年 11月 2021年 09月 2021年 06月 2021年 04月 more... 検索
最新のトラックバック
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
外部リンク
ファン
その他のジャンル
|
久しぶりの京都シネマで…
聴覚障害児学校で、校長や教員が複数の生徒に性的虐待を繰り返していた… 韓国で実際に起きた事件を、題材にした作品です。 しかも、加害者は事件発覚後も法的な処罰を受けず、それまでとなんら変わりない毎日を送っていました。 しかし、この映画が公開されるやいなや大きな社会問題となり、題名から取った「トガニ法」という法律が制定され、ようやく加害者は訴追、学校も閉鎖に追い込まれたといいます。 ちなみに、トガニとは“るつぼ”という意味。 物語は、この学校に赴任した美術教師が、子供たちから性的虐待の事実を打ち明けられ、人権センターの女性幹事と協力して、子供たちを救おうと立ち上がるさまを追っています。 むずかしいテーマを、抑制の利いた映像でとらえ、性的虐待を必死に隠蔽しようとする大人たちの姿と、逃げ場のない世界で傷つき苦しむ子供たちの姿が丹念に描かれます。 子役たちのリアルな演技が素晴らしく、その苦しみや悲しみがストレートに伝わってきます。 特に後半は、息詰まる法廷劇の様相を見せ、良く出来たサスペンスドラマとしても、充分楽しめます。 しかし、映画はハッピーエンドでは終わらず、立ちふさがる壁を最後まで壊すことができない、救いようのないもどかしさを残します。 大胆に不正を告発した感動作!などと、単純に片付けられない、重い余韻が心に響きます。 権力を持つ者たちは、自らの地位と利益を守るために結託する。 加害者である校長や教師から、役所、警察、司法にまで、隠蔽のネットワークが張りめぐらされます。 検事や裁判官までがグルだなんて、にわかには信じがたいけれど、事実なのです。 まさに、権益を守ることが最優先の“るつぼ”と化しているのです。 この“るつぼ”、日本に置き換えれば、「原子力ムラ」の“ムラ”が、ピッタリあてはまる気がしました。 “ムラ”の慣れ合いの構造が、“良心”を蹴散らす図式は、どこも変わらない。 「善悪よりもまず生活、だから今の立場を失いたくはない」という選択を、この国にあっても、どれだけ多くの人々が強いられていることか? この子たちの「幼き瞳の告発」は、韓国のみならず、日本のそんな現実にも鋭く突き刺さるのです。 ラストのモノローグで、人権センターの女性幹事ユジンが、こうつぶやきます。 『結局、私たちは世の中を変えられなかったけれど、世の中も私たちを変えることは出来なかった』 力とは何なのでしょう? 世の中を意のままに出来る力なんて、ほんとうの力ではない。 昨今軽々しく叫ばれる、世の中を変える力なんて、ウソくさいだけだ。 持つべき力とは…? しがらみや処世にからめて迫ってくる、世の中の呪縛や恫喝にも、決して変えられることのない “自分” ・・・ それこそがほんとうの力ではないのだろうか? そんな気がしました。
by anculucinema
| 2015-01-28 17:15
| 洋画
|
ファン申請 |
||