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京都シネマで見ました。
アンクルには、こうしたミニシアター系の映画が、やっぱり性に合っているようです。 人生の折り返し点を迎えた男女の破滅と希望を描き、サンダンス映画祭やその他の各賞で高い評価を受けた、小粒ながらも見応えのあるイギリス映画です。 自身と周囲を傷つけながら生きる中年男と、つらい闇を抱える女性が出会い、お互いの傷を見つめ合いながらも絆を深め希望を見いだしていく姿が浮き彫りにされます。 妻を亡くし仕事にもあぶれた中年男ジョセフは、昼間から酒を喰らいことあるごとに暴力を振るっては周りからも見捨てられている、自己崩壊寸前の男。 ふとしたことからチャリティショップの信仰深い女性ハンナと出会い、裕福な地区の住人である彼女に悪態をつきながらも、言葉を交わすようになります。 はじめは戸惑っていたハンナも、ジョセフのために祈るうち、彼の心の奥に隠されたやさしさに気づき、次第に胸襟を開き始めます。 しかし、ふたりが近づけば近づくほど、ハンナのつらく苦しい秘密が少しずつ明らかになって・・・ 一見、自暴自棄でどうしょうもない中年男が天使のような女姓に出会い、そこに救いの手が差し伸べられるのかと思いきや、そんな甘ったるい話ではありません。 女性はその背後に夫の暴力を抱えており、問題はそちらの方が深刻です。 映画の後半は、むしろ中年男の方が迷いながらも女性の心の支えになっていくのです。 男の暮らす下層階級の生活の実態や、女性の暮らす中流階層の平和に見えるけれどそこに潜む寒々とした孤立感など、階級社会であるイギリス社会の光と影が浮かび上がって来ます。 中年男を取り巻く荒んだ日常や、女性の夫の暴力描写など、目を覆いたくなるような場面も多い。 ハンナを演じる女優さんは、映画の半分ほどをパンダのように目の周りを真っ黒にして演技を続けます。 全編を通して追い求められるそのリアリティがすさまじい。 救いのないストーリー展開や娯楽としての視覚的な楽しさの無さに、この映画をイヤだと思う人も多いでしょう。 しかし、嘘くさいキレイごとや見せかけの優しさを拒み、四季になぞらえた中年男女の人生の“秋”を真っ直ぐに見つめるまなざしに、生一本な誠実さを感じます。 どんなに過酷な状況であっても、人は互いに支え合うことを必要とし、そこにひと筋の光があるのだと、垣間見せるラストシーンが心に残ります。 アンクルはこういう映画を見たいのだと、あらためて思わせられた作品です。
by anculucinema
| 2015-03-22 23:53
| 洋画
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