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スウェーデンのイングマール・ベルイマン・・・
アンクルの大好きな映画作家です。 その彼が、1978年に製作し1981年に初公開された30年以上も前の作品・・・ 「カサブランカ」でおなじみのハリウッドの大女優イングリッド・バーグマンが郷里に戻って、巨匠ベルイマンのメガホンのもと、自らこれが最後の映画出演と決めた母と娘の物語。 バーグマン演ずる国際的に著名なピアニスト、シャルロッテ。 豊かな才能に恵まれ、奔放な恋に生き、家族を顧みることなどほとんどなかった母・・・ そして、リブ・ウルマン演ずる牧師の妻エヴァ。 偉大な母の陰で、ひっそりと、しかしいつまでもその精神的支配から逃れられない苦しみを背負い続けて来た娘・・・ 大輪のバラの花のような母に引き比べ、人知れず野に咲く花のように縮こまった娘・・・ 7年もの間会うこともなかった母娘でしたが、母が父や自分たちを捨て、長らく連れ添った夫代わりの男と死に別れたことを聞き、エヴァは牧師の夫と共に暮らす『牧師館』へ母を迎えることにします。 はじめは互いのわだかまりを見せず、母娘を取り繕おうとするふたり・・・ しかし、母の変わらぬ姿にエヴァは次第に感情を抑えられなくなり、それまでの鬱積を爆発させ、シャルロッテもまた自らの本心を余すところなくあからさまにして、互いの心の奥底をさらけ出してぶつかり合ってしまいます。 実はシャルロッテにはもうひとり脳性麻痺で寝たきりの障害を持つ娘、エヴァの妹レナがいます。 ずっと施設に預けられていた彼女を、エヴァが『牧師館』に引き取って面倒を見ています。 動くことも出来ず、母への想いをコトバにすることも出来ない娘です。 シャルロッテは彼女の存在が疎ましいようで、エヴァが彼女の世話をしていると知ったことが、いさかいの口火を切ったのです。 シャルロッテとエヴァの赤裸々な葛藤のぶつかりあいが、この映画の見どころのひとつ・・・ 互いのコンプレックス、憎しみの裏に隠された満たされぬ愛への渇望、相手を求めたい気持ちと屈折した悔いの気持ちとのせめぎ合い・・・ 決して通いあうことのない心に苛立つ彼女たちの苦痛にゆがむ表情を、ベルイマンはじっくりとアップで捉えていきます。 この母と娘、バーグマンとウルマンの火花を散らす演技に思わず息を呑みます。 ベルイマンはこれまで一貫して<神> の沈黙と不在というテーマを追い続けて来ました。 ここでも、<神> との仲立ちであるべき牧師の夫は、母と妻の間に割って入ることも叶わず、ただ互いの曝露を聞くことしか出来ません。 彼らの話を聞き、寄り添うほかにすべがないのです。 シャルロッテとエヴァの衝突よりもっと深刻なのは妹レナです。 母を愛していることも、彼女が来てくれた喜びをもうまく伝えられず、うめき声をあげることしか出来ない。 ラストで、母が再び出て行ったことを知らされたレナは、狂ったようにベッドで悶絶し、床を這いずりまわり、この世のものとは思えない叫び声をあげます。 それは、人々がこれほどまでにそれぞれ深い断絶と孤独に苦しみ、悲痛な想いで救いを求めているというのに、なぜ<神>は沈黙を守り続けるのか?と問う、ベルイマン自身の究極の叫びであるように聞こえました。
by anculucinema
| 2015-06-25 07:08
| 洋画
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