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「北のカナリアたち」の阪本順治監督が、敗戦直前に旧日本軍が隠したとされ、いまだ、その存在が議論されている秘密資金、M資金をめぐって繰り広げられる陰謀を、佐藤浩市、香取慎吾、森山未來をはじめユ・ジテ(韓国)やヴィンセント・ギャロ(アメリカ)ら、海外からの顔ぶれも含む豪華な実力派キャストで描いたサスペンス大作・・・ 終戦後、ひそかに回収されたというM資金と呼ばれる旧日本軍の秘密資金。 それをネタにして詐欺を仕掛けてきた真舟雄一。突然、彼の前に現れた石(セキ)という青年から、彼が所属する「日本国際文化振興会」なる財団の人間に会うよう迫られる。 だが、財団のビルに足を踏み入れた途端、正体不明の一団に襲撃され、それを何とか逃れたものの、今度は財団の関係者という男から50億円の報酬で某投資ファンドが管理する10兆円ものM資金の奪取を持ち掛けられる。 普通の人にはタイトルからして意味不明・・・ あらすじを見ても、どういう話か想像してもピンと来ない。 見たのは「イオンシネマ」で、上映開始から2週目の夜・・・ 平日だったこともあるだろうけど、観客はアンクルひとりっきり。 もうさんざんでした。 でも、眼のつけどころのいいテーマを扱っていることには間違いないのです。 だからこそ見ようと思ったのだから・・・ M資金は日米双方で管理され、人類が戦後の新しい世界を創りあげるためにこそ使われるべきお金とされ、“Mankind”の頭文字をとって名づけられたと(この映画では)位置づけられています。 「Mankind Fund」・・・すなわち<人類資金>です。 しかしそのM資金も、運営を任された者たちがいつしかマネーゲームに走り、今や強欲にまみれています。 もう一度、それを本来の姿に戻し、貧しい人々のために立ち上がろうとする一団と、どうしてもそれを阻止したい一団の壮絶な戦い・・・ それを描いたのが本作です。 以前『闇の子供たち』で発展途上国の貧困と子どもたちの虐待を扱った阪本監督だから、子どもたちの未来のために世界を変えたいという理想はよく理解できます。 資本主義による富の集中を批判し、「搾取を前提とした投機ではなく、良心的な人々のまごころに基づく投資が発展途上国の救済と成長につながる・・・」 森山未来扮する石が、途上国・カペラ共和国の代表として国連でそう訴えるクライマックスも見応え充分です。 (「北のカナリアたち」と同じく、ここでも森山未來の熱演が心に残ります・・・) でも、これをサスペンス・エンターテインメントとするには、あまりにも消化不良だし、どうしても無理がある。 そのため、とても中途半端などっちつかずの印象だけを残す作品になってしまったと思います。 また、この理想を実現させるのは針の穴を通るより難しく、それゆえリアリティに乏しかったのもその一因です。 ただ、この映画が挑戦したかったのは、少数の富裕層が富を独占し、大多数の人々が貧困にあえぐ現在の世界のあり方に対してだ、と思います。 それを支配しているのは、お金が数字として飛び交い、集約される金融資本主義の論理。 個人の欲望を満たすことが目的の資本主義は、このまま進めば間違いなく行き詰まります。 経済学で云う「効用」(欲望の充足)を超える、人間の良心をベースにした新たな社会システムを考えるべき時に来ていると思います。 資本主義に倫理的な価値を加える改革が求められるべきなのです。 これを実現させるには、強欲資本主義と対立するのではなく、ムハマド・ユヌスのソーシャルビジネスのように、それを逆手にとってしたたかにそこに添っていくことこそ、結局は近道のようだとアンクルは考えています。
by anculucinema
| 2015-08-05 14:48
| 邦画
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