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18年間愛してきた息子は、実は「敵」の子どもだった!
終わりの見えない武力紛争の真っ只中・・・ 赤ん坊を戦時中の混乱で取り違えられたイスラエルとパレスチナのふたつの家族が、試練に向き合い、共存の道を探る姿を追った話題作『もうひとりの息子』を「京都シネマ」で・・・ イスラエル/テルアビブで暮らすフランス系ユダヤ人一家のひとり息子ヨセフは、兵役のために健康診断を受ける。 血液検査の結果、両親と息子は血がつながっていないという驚きの事実が発覚する。 18年前、湾岸戦争のさなか、病院は別の赤ん坊と取り違えてしまっていたのだ。 その事実はすぐに相手側の家族にも伝えられる。 ふたつの家族はイスラエル側とパレスチナ側、検問と壁に隔てられていた。 壁の内側に閉じ込められ、厳しい暮らしに耐えるパレスチナの親子。 一方、取り違えの結果、ラビ(律法学者)からユダヤ人であることを否定され、苦しむイスラエルの息子。 両者は悩み葛藤しながら、お互いに相手と向き合い、少しずつ距離を縮めていく。 「そして父になる」と同じく子どもの取り違えがテーマになっていますが、印象はまるで異なります。 「そして父になる」の両家は、血の流れか、愛した時間かをめぐってお互いに葛藤しますが、基本的にそこに憎しみはありません。 ところがここではイスラエルとパレスチナ。 長い間激しく対立してきた相手なのだから、ことはいっそう深刻です。 両家は激しく悩み、苦しみます。 初めての顔合わせの際にも、大声で怒鳴りあう父たち。 ユダヤ人と知ったとたん、愛していたはずの弟を許せなくなる、パレスチナの兄。 双方に横たわる不信と憎しみの深さは尋常ではありません。 しかし、あるがままに息子たちを受け入れる母親たちが、まず打ち解けます。 たとえ息子が自分の子ではなかったと知らされようと、その息子にも、これまで育てることの出来なかった実の息子にも、そそがれる母親としての愛情・・・ それが彼女らの背中を押すのです。 イスラエル側のパレスチナ人の息子ヨセフは、ユダヤ人としてのアイデンティティーを否定されて悩みながらも、フランスで医師を目指すパレスチナ側のユダヤ人の息子ヤシンと次第に親しくなっていきます。 当事者であるふたりとも、とても冷静で宗教、国籍の違いにそれほど深刻にはなりません。 そんな彼らに引きずられ、かたくなだった父や兄たちも少しずつ憎むべき相手に歩み寄っていきます。 そこには、わだかまりや憎しみを超える、お互いの理解への希望の芽が感じられました。 果たしてそんなに簡単に双方が簡単に交流出来るものか?・・・ 理想的に過ぎるのではないか?・・・ そんな疑問もあるでしょう。 しかし、実際にこの映画の試写に立ち会った両国の大使は、「共存できる解決方法があるはずと信じている・・・」と、手を握りあったと伝えられています。 ユダヤ系フランス人であるロレーヌ・レヴィ監督は、女性たちの芯の強さに、戦争のない未来を託したのでしょう・・・ そのキーワードは<尊重>・・・ 彼女は「異なる相手に敬意を払う。それに尽きると思います。」と、語っています。 そのとおりだ、とアンクルも思います・・・
by anculucinema
| 2015-08-16 23:06
| 洋画
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