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懐かしさを感じさせるポーランド映画を・・・
白黒、スタンダードのクラシックな画面・・・ 古い映画を思わせますが、ヨーロッパ各国で映画を撮り続けてきたパベウ・パブリコフスキ監督が初めて母国ポーランドで撮影した最新作です。 学生のころ、1960年代初頭のアンジェイ・ワイダやイェジー・カワレロウィッチといった、いわゆる『ポーランド派』と呼ばれた映画人たちの作品を見る機会がありました。 特に、カワレロウィッチの美しい一編「夜行列車」には強い感銘を受け、今も大好きな映画のひとつです。 この映画「イーダ」は、空白の多いモノクロの画面構成やコルトレーンのジャズを象徴的に使うなど、その『ポーランド派』の輪郭を意識的になぞり、それらにオマージュとして捧げられているように感じました。 60年代初頭のポーランド。 孤児として修道院で育てられた少女アンナは、ある日院長から叔母のヴァンダの存在を知らされる。 一度も面会に来ないヴァンダに興味をもったアンナは彼女を訪ねるが、ヴァンダから衝撃の言葉を受ける。 「あなたの名前はイーダ・レベンシュタイン、ユダヤ人よ」・・・ 突然知らされた自身の過去。 自分はなぜ両親に捨てられたのか? イーダの出生の秘密を知るために、ふたりは旅に出ることに・・・ ふたりが真実を探して旅するロードムービーなのですが、そこには戦時中ポーランド人自身がユダヤ人を殺していたという重い背景がありました。 叔母のヴァンダが今は自堕落な享楽の生き方に身をやつしているものの、かつては共産党政権の強面の判事としてポーランド人を裁いていたという過去も、そこにつながってゆくのです。 真実がひとつひとつ明らかになるにつれ、イーダ自身の生き延びることが出来た訳と、そして叔母が判事として、また後には世捨て人のように生きねばならなかった理由を、イーダは理解するのです。 聖服を脱ぎ、自ら命を絶った叔母のドレスに身を包み、旅先で出会い心魅かれたジャズマンのホテルの一室に向かうイーダ・・・ まるで、心ならずも荒んだ人生を歩まなければならなかった、叔母の胸中を量ろうとするかのように・・・ 真実を求める旅は、また聖と俗とを見極める旅でもあったのでしょう・・・ そしてラストで彼女は硬質な決断を下します。 それが、イーダの短くも永い旅の終わりだったのです。
by anculucinema
| 2015-10-26 10:38
| 洋画
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