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「嘆きのピエタ」でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した韓国映画界の鬼才キム・ギドク監督。
その最新作、家族と性と人間を真正面から見すえた『メビウス』。 不貞の夫、嫉妬のあまり息子に刃を向けた母、性器を切り取られてしまった息子・・・ この3人が巻き起こす、全編セリフなしの衝撃のドラマが展開していきます。 近くに住む女と夫との不貞に気づき、嫉妬に狂う妻。 彼女は夫の性器を切り落とそうとするが失敗、あろうことか、代わりに息子を去勢して家を飛び出してしまう。性器を切り取られてしまった息子は絶頂に達することも叶わず、失くしたことで虐められ、生きて行く自信をもなくしてしまう。 自責の念から自らの性器をも切り取ってしまう父。 さらに、それでも快楽に達することができる“ある方法”を発見し、それを息子に教える。 そのことでやがて、父と息子は壊れた親子関係を次第に修復していく。 しかしそんな矢先、出て行った妻が突如戻ってくる・・・ 『レッドファミリー』に続き、これもある種のホームドラマと云えますが、尋常じゃあない。 あらすじを見ただけでもハンパじゃないことがわかります。 それでも、家族とは?性とは?そして人間とは?と問い詰める、いつものギドク監督一流の世界が浮かび上がってきます。 この映画の印象をひと言で表現するなら <痛み>・・・ 性器を切り取られるのもさりながら、快楽を得る別の方法として、皮膚を傷つけたり、刃物を突き立てたりする自傷行為が執拗に強調されます。 痛みを快楽に変えるのです。 しかし、その絶頂を得た瞬間、それはもっと激しい苦痛に戻ります。 つまるところ「快楽」とは「痛み」なのです。 再び母親が戻って来たとき、息子は父の性器を移植されていました。 しかも、奇跡的にそれが勃起することを知り、母の欲望は息子に向かいます。 嫉妬にかられた父親がそれを阻止しようと争い・・・ 去勢!近親相姦!・・・ 何やらフロイトやユングを彷彿とさせながら、物語はすさまじい展開になっていきます。 父(男)と母(女)が性によって交わり、子どもが生まれ、家族が誕生します。 「つまり家族とは欲望なのだ!」と、ギドク監督・・・ 家族のつながりが欲望ならば、そこに属する人間たちはその充足を求め、結果として痛みの苦しみにさいなまされ、またそれが快楽となり、そこからまた苦痛へと・・・ 裏と表がねじれながら、どこまでもそれをくり返すしかない。 まさしく<メビウスの輪>・・・ それがさけることの出来ない人間の業(ごう)、もしくは輪廻なのでしょうか? 劇中、ギドク監督のいでたちにソックリの男が唐突に現れ、街角の仏具屋の店先で仏頭に五体投地をくり返します。 それは、この輪廻の鎖を断ち切りたいと願うギドク監督自身の姿なのでしょうか? そしてラストで、もう一度五体投地を繰り返しながら登場する男の正体が明らかに・・・ それは、くだんの息子でした・・・
by anculucinema
| 2016-02-06 18:08
| 洋画
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