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年間20万人もの子供が行方不明になっているといわれる中国で、2008年に誘拐された男児が3年後に両親のもとに帰って来たという実際の事件を基にした映画。
背後に潜む「拡大する経済格差」や「一人っ子政策」など、現代中国が抱える問題に迫り、中国国内で公開されるや大ヒットを記録、社会に大きな反響を巻き起こしたと伝えられています。 中国、深圳の市街地で3歳になる男児が姿を消してしまう。 両親は警察に捜索を願いインターネットの情報を駆使して、必死に息子を探し出そうとする。 3年後、ついに中国北部の村で生活していた息子を見つけ出す。 だが、6歳になっていた彼は実の親のことを何ひとつ覚えておらず、共に暮らす最愛の母との別れを激しく拒むのだった。 映画の前半と後半で、視点が大きく変わります。 舞台は2009年の中国・深圳、日本からも多くの企業が進出している大都会です。 離婚した夫婦の3歳になる一人息子が誘拐され、ふたりは息子の行方を必死に探します。 実は、このふたりが離婚しているという事実がいろいろと問題を引き起こすのですが・・・ それでも、ふたりはそれを乗り越えながら手をつくすものの、息子の行方の手がかりはようとしてつかめず。 しかし3年後やっと、遠く離れた中国北部・安徽省の貧しい農村で息子が見つかります。 そして、息子は実の両親の手に戻ることになりました。 ここまでは、息子を奪われた気の毒な両親の葛藤が物語の中心です。 ところが、6歳になる息子は両親のことをまったく覚えていませんでした。 それどころか、育ててくれた女性を実の母親と慕い、引き離されることを激しく拒みます。 彼女は彼女で、夫がよその女との間にできた子供として連れ帰った男の子を、子供の産めない自分の実の息子として、大切に育てて来たのです。 すでに亡くなっていた夫も、不妊症の妻を気遣い誘拐したことを偽っていたのでした。 もう一度子供に逢いたいという切なる気持ちを抑えきれず、彼女は深圳へと向かいます。 そして、奪われた自分の子供を捜すべく思い切った行動に出るのでした。 後半は、この育ての親の視点から最愛の子への深い心情が描かれます。 前半の父親を演じるホアン・ボーが、持ち味のコミカルな演技を封印して、複雑な父親の心情を見事に演じ切れば、後半の育ての親を演じる人気女優ヴィッキー・チャオは、方言をマスターし、全編ノーメイクで貧しい田舎の女性を迫真の演技で体現します。 たしかに実の両親は息子を誘拐された被害者です。 しかし、育ての母もここまで愛情を注いで来た息子を奪われた、ある意味被害者なのです。 たとえ誘拐犯の妻であったとしても・・・ どちらも子を思う親の愛に変わりはないのに、被害者が加害者になり、加害者がまた被害者となる。 人の世とは、見方が変われば善悪、正邪では割り切れない、そんな矛盾した両面を持っているのです。 劇中、誘拐犯の妻を支える弁護士が、役所の対応に異議を唱える彼女に対し、こう諭します。 あの人たちは何もあなたを困らせようとしているのではない。 ああせざるを得ないのだよ。 そこはわかってあげないと・・・ 自分のことばかり嘆かずに、少しは相手の立場になって考えてみなさい。 今の社会は、誰も彼もがそう出来ないから、もめ事が絶えないのだよ・・・ たとえ利害を損なうかも知れない相手であっても、それなりの立場があります。 自分たちだけが正しいと閉ざすのではなく、視点をそこに少しずらせて見れば、どこか同じ地平が見えて来るかも知れない・・・ ピーター・チャン監督がもっとも云いたかったのはそこではなかろうか?と感じました。
by anculucinema
| 2016-09-30 23:17
| 洋画
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