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「萌の朱雀」でカンヌ国際映画祭新人監督賞、「殯(もがり)の森」でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞した河瀬直美監督が、樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅などの役者陣と共に、ドリアン助川の同名小説を映画化した作品。
おいしい粒あんをつくる謎多き老女が、実は元ハンセン病患者だった・・・ それを契機に、それぞれの哀しみを抱えながら、それでも前を向いて生きたいと願う人々の姿が丁寧に描かれます。 ふとしたことから刑務所暮しを余儀なくされ、どら焼き屋の雇われ店長として日々を過ごす男。 ある日、店で働きたいと懇願する老女が現れ、彼女のつくる粒あんの美味しさが評判となり、店は大繁盛する。 しかし、老女はかつてハンセン病患者だったという噂が流れ、客足が遠のいてしまう。 老女はおとなしく店を去るのだが、彼女のことが気にかかる店長は、老女と心を通わせていた近所の女子中学生といっしょに、彼女の暮らす元療養所を訪ねるのだった。 「萌の朱雀」といい「殯(もがり)の森」といい、これまでの河瀨監督の作品は静かな佇まいと人々のリアルな描写で、とても質の高い作品であることには間違いないのだけれど、どこか見る人を選ぶようなわかりにくいところがあって、正直苦手でした。 しかしこの作品は、監督の持ち味を充分に活かしながらも、誰にでも受け入れやすい娯楽映画として成り立っていて、これまでの河瀨作品の中ではいちばんスンナリ入って行くことが出来たと思います。 河瀨作品らしく、とても静かな余韻を残す映画です。 今回は名の知れたプロの俳優さんたちを起用しているのですが、それぞれの素人っぽいところをうまく引き出して、ドキュメンタリーのようなとても自然なタッチが印象的でした。 元ハンセン病患者の置かれた状況と、いわれのない差別が描かれるのですが、そのことを声高に訴えかけるようなことはしません。 それよりむしろ、自分にはどうすることも出来ない事情であっても、世の無理解や差別を受けることは往々にしてあって、それをどう乗り越えて行くのかがさりげなく問いかけられているように感じました。 そしてその行き着く先は、生きているだけでその意味があると気づくこと。 私たちはこの世を見るために、聞くために、生まれて来たのです。 だとすれば、何かを成しとげたり、何かになれなくても 私たちにはそれだけで生きる意味があるのです。 人生をまるごと肯定した老女のこの言葉に胸が熱くなりました。
by anculucinema
| 2016-09-30 23:33
| 邦画
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