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1990年代から2000年代にかけての法律や条例などの施行が、ヤクザの暮らしや考え方を大きく変えたと云われています。
そんな中、大阪の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」にカメラを潜入させ、これまで見えなかった彼らの現実を活写したドキュメンタリー・フィルム。 東海テレビの制作で、2015年3月30日にテレビドキュメンタリーとして放映されたところ反響を呼び、再編集して劇場公開されることになった作品です。 大阪府堺市の住宅街に位置する指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」の事務所に詰める組員たちの日常と、山口組の元顧問弁護士・山之内幸夫の事務所のようすと彼の行動が並行して記録されます。 ヤクザはもともと賭け事の仕切りと祭りの露天商を稼業としていましたが、覚せい剤の密売を手がけるようになり、昭和40年代前後には組同士の抗争を激化させるなど、反社会的存在となっていきました。 その「清勇会」会長はカメラの前で「『暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)』『暴力団排除条例』の施行はヤクザの銀行口座開設を不可能とし、そのため子供の給食費が引き落とせないといった、家族への人権侵害にまで及んでいる。」と云います。 題名にある「憲法」はその14条、法の下での平等を指していて、組長はそれがないがしろにされていると訴えているのです。 しかしその平等を口実に、市民社会に理不尽な主張や要求を強引に押し通そうとしたのも一方で彼らのやり口だったし、そこで彼らの主張が説得力を持つかと云えば、やはり抵抗は感じてしまいます。 ところが、登場する人のよさそうな組員が「車の修理代を保険がなかなか払ってくれないんでちょっと顔の効く人にお願いしてますねん、困ってますわ。」と話してたと思ったら、保険金詐欺未遂で逮捕されてしまいます。 事務所のこちら側から見ていると、こんな些細なことで逮捕されるの?とビックリしてしまうし、法律を盾に何でも取り締まれ!みたいなやり方は、人権感覚として少しどうかな?と感じました。 恐い存在には多少憲法を曲げてでもとなるなら、なんチャラ自衛権の発想と同じじゃないの?と思ってしまいます。 そういうのが当たり前になってしまうこの国の今のありさまは、やっぱりアカンと思います。 やがて、そのことで警察のガサ入れが始まり、テレビカメラに向かって恫喝する警察官・・・ こうして見ると、ヤクザより国家権力の方がよっぽどヤクザっぽい。 ヤクザがいない社会は理想だけど、現実にはいるし、けっしてなくならない。 どんなに法を厳しくしても、ドロップアウトする人たちは必ずいて、それをただ叩くだけでは世の中は上手くまわらない気がします。 良いとか悪いとかの価値基準だけではなく、そういう人たちが存在することはある程度認めて、きちんと社会に収容していく方法を考えることの方が大切ではないかって気がします。 異質なもの、意に沿わないものはとにかく排除しようとする昨今のような不寛容な社会ではなく、少しゆったりとした余裕を持ってみんなで知恵を出し合える社会が望ましいと思います。 でもまぁそんな堅苦しさよりも、この作品のホントの見どころは普段見ることの出来ないヤクザ社会の内側をのぞくことにあります。 意外に家庭的だったり、普通の会社とさほど変わることもなかったりして、けっこう親近感が感じられるところもあります。 「マシンガンとかないんですか?」という制作者の唐突な質問に「そんなものあるワケないじゃないですか!ドラマとか見過ぎ、思い過ごしですよ。」と組員が苦笑するのも愛嬌です。
by anculucinema
| 2017-07-31 23:40
| ドキュメンタリー
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