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クマに襲われ瀕死の重傷を負いながらも、不屈の生還を果たした伝説の猟師を、自然光のみで撮影した臨場感あふれる映像で描き上げ、主演のレオナルド・ディカプリオが主演男優賞、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が監督賞、エマニュエル・ルベツキが撮影賞と、アカデミー三部門でオスカーを手にした話題作です。
音楽は坂本龍一・・・ 開拓時代のアメリカ西部の原野・・・ 猟師のグラスは狩猟の最中にクマに襲われ瀕死の重傷を負うが、同行していた仲間のフィッツジェラルドに極寒の中生きたまま埋められ置き去りにされてしまう。 しかも、それを止めようとした最愛の息子まで目の前で殺される。 かろうじて死の淵から生還したグラスは、フィッツジェラルドに対する激しい復讐心だけを支えに、大自然の猛威に晒されながらも過酷な道のりを歩み進んでいく。 何度も候補になりながら、手の届かなかった悲願のアカデミー主演男優賞に輝いたレオナルド・ディカプリオが、迫真の演技を見せます。 あの、船の舳先で女性の腰に手をまわしニヤけていたレオさまとは別人のようです。 一見、復讐のドラマのように見えますが、実はそれをバネにしたサバイバルのドラマという色彩が濃いと思いました。 次から次へと絶体絶命のピンチに見舞われるのに、けっしてあきらめることなく生き延びようとする人間の力強さに圧倒されます。 はじめ、字幕に日本語と英語が入るのでいぶかしく思ったのですが、ネイティヴのコトバで話しているのだと分かります。 彼の家族は、彼以外みんなネイティヴなのです。 それがこのドラマ全体の展開のカギを握っていると思いました。 過酷な状況を乗り越える度に、自然と対立しても生き延びることは出来ず、共生して行くしかないことを、彼はネイティヴの知恵に学び少しずつその悟りを得ていきます。 そしてラストのクライマックスで、いよいよ憎きフィッツジェラルドと対峙するとき、優位に立ったにもかかわらず、彼はそこで勝負を投げ捨てます。 復讐するは我にあらずと、神にそれを委ねるのです。 それは彼が、自分が生かされて来たのは復讐のためではなく、その背後にあった息子や妻を愛する心にこそ支えられていたのだと、気づいたからです。 アジアの世界観にもつながる、ネイティヴのおおらかな心を会得したからこそ!と感じました。
by anculucinema
| 2017-07-31 23:49
| 洋画
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