フォロー中のブログ
カテゴリ
最新の記事
以前の記事
2023年 12月 2023年 09月 2023年 06月 2022年 09月 2022年 05月 2022年 03月 2021年 11月 2021年 09月 2021年 06月 2021年 04月 more... 検索
最新のトラックバック
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
外部リンク
ファン
その他のジャンル
|
若者の心の暗部を浮き彫りにした問題のコミック「ヒミズ」の映画化に、鬼才・園子温監督が挑みました。
父親に暴力を振るわれ、母親に捨てられてもなお、まっとうな普通の人生を願う住田祐一。 愛する人と守り守られ生きていくことを夢見て、彼に献身的な想いを捧げる同級生、茶沢景子。 ともに15歳、中学3年生… だがある日、衝動的に父親を殺したスミダはそこからの人生を「オマケ人生」と名付け、世間の<悪党>を殺そうと決めます。 未来を捨てるスミダに、チャザワは再び光を見せられるのか…? 設定や筋の運びは、韓国映画「息もできない」によく似ていますが、東日本大震災が背景に取り入れられたことによって、印象はずいぶん異なったものになりました。 園監督は書きはじめていたシナリオを、3・11を経験してこのまま同じものを書き続けるわけにはいかないといったん中止し、震災後の青春ドラマとして書き直しています。 ヒミズとは“日不見”と表し、モグラのような動物のこと。 スミダとチャザワはヒミズのように土の中に潜みながらも、ごくごく「ふつうの未来」を切望しています。 しかし、彼らの親やその周囲の大人たちは、理不尽な暴力や無責任な無関心で、次から次へと彼らを苦境におとしいれます。 彼らを助けたいと思う大人たちも、結局は自分に精一杯で、その小さな望みすら叶えることが出来ない。 いずれにしても、ダメ大人たちばかりです。 3・11で明らかになったように、それは享楽的な生活や、豊かさという根拠のないまぼろしに惑わされ、その裏にある影の本質から目をそむけ続けた、我々の今の姿そのものです。 我々もその点では同じです。 しかし、3・11はそんな絶望感など打ち砕いてしまい、絶望に甘えることすら許さない。 逆説的ですが、絶望まで奪われた我々には、もう希望に向かうしか選択肢が残されていません。 園監督は、「愛なんて信じないと言ってた人が、他人を好きになってしまって愛に負けるように、我々は絶望に勝ったのではなく、希望に負けたのです」と語っています。 それは、今よりもずっと過酷な未来です。 だけど、我々はもうそこへ踏み込んでいくしかない。 スミダとチャザワがラスト・シーンで自らに向かって叫ぶ“がんばれ!”には、実はそういう想いが込められているのです。 決して明るくない“希望”に立ち向かわなければならないのです。 この作品がベネチア国際映画祭で上映され、エンドロールが流れ終わったとき… しばらくの沈黙のあと、立ち上がった観客の大きな拍手と歓声に包まれ、大合唱が巻き起こりました。 それは…? 「スミダ!がんばれ!」…の大合唱でした。
by anculucinema
| 2014-11-13 00:01
| 邦画
|
ファン申請 |
||