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トルコのヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督作品。
第67回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞しました。 世界遺産カッパドキアを舞台に、ホテルのオーナーで元舞台俳優の主人公、その美しい若妻、出戻りの妹、家賃を滞納する店子一家・・・ 雪に閉ざされた世界で、彼らの愛憎と確執が果てしなく広がっていきます。 カッパドキアの「オセロ」というホテルのオーナーである元舞台役者のアイドゥンは、遺産としてホテルやその他の不動産を受け継ぎ、妻のニハルや出戻りの妹ネジラとともに暮らしている。 ある日、使用人と街に出かけたアイドゥンらの車に、ある少年が石を投げつけ、あやうく事故を起こしかける。 少年は、家賃滞納のため法律によってテレビなどを差し押さえられた、アイドゥンが家主になっている住人の息子だった。 ところがその父親は、家賃を払えないと息子までも巻き込んでしまうのかと、ますます怒りをつのらせてしまう。 さらに、妹ネジラは無為の生活を送るアイドゥンに辛辣なコトバを投げかけ続けるし、妻ニハルはアイドゥンのことなど眼中になく慈善活動にのめり込むばかりだった。 そんな彼らの確執がやがて一気に爆発する。 3時間を超える上映時間のほとんどが会話劇。 それも互いの弱点を暴き出すばかりの不毛な議論。 自分の弱点を責められまいと、相手がもっともグサリと来るポイントを的確に突きます。 下世話に云えば「それを云っちゃあおしまいよ!」というセリフを、これでもかと互いに相手に投げ掛けるのです。 正直、とてもしんどい映画でした。 しかし、そのくせそれぞれが互いに孤独で、それぞれに相手を必要としているのです。 何か素直じゃないなぁと、歯がゆくもなりました。 ロシア19世紀の小説などにおなじみの裕福な知識人階級が漂わせる、何となく不安で気の滅入るような、身の置きどころのないメランコリーに包まれた、ぜいたくな悩みを感じさせます。 監督はチェーホフの作品をモチーフにしたそうですが、チェーホフの静かな世界とは異なる濃密さを感じました。 全体に退屈な作品ですが、妻ニハルが家賃を払えない店子に善意として大金を差し出すクライマックスシーンが緊張感にあふれ、迫ります。 差し出された店子イスマイルは、家が買えるようなその大金を暖炉に放り投げ、燃やしてしまうのです。 慈善とは安全な処から手を差し伸べることではなく、その同じところに身を寄り添わせることなのだ、と思い知らされます。 とても冗長で分かりにくい作品でしたが、ふとこんなことを感じました。 この世界で必要なことは、赦しを乞うこと、そして赦すことなのだと・・・
by anculucinema
| 2016-08-26 17:03
| 洋画
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