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若年性アルツハイマーと診断された50歳の言語学者が苦悩し葛藤する姿を、彼女のまわりの家族とのつながりに絡めて描かれた作品。
ヒロイン・アリスを演じたジュリアン・ムーアが熱演、アカデミー賞オスカーを手にしました。 ニューヨークの大学で教鞭をとる50歳の言語学者アリスは、講義中に言葉が思い出せなくなったり、ジョギング中に自宅までの道がわからなくなったり、といった異変に気づく。 それは若年性アルツハイマーの症状と診断され、家族のあたたかい支えもむなしく、日ごとに記憶や知識が薄れていく。 そんなある日、ふとしたことから記憶が薄れる前に自らがパソコンに残したビデオメッセージを見つける。 そこには記憶を失うアリスに、自分が自分でいられるように、まだまともだった彼女の誘いかけが録画されていた。 アリスは食い入るようにそれを見つめ、そして画面の中の自分が語ることを実行しようとするのだが・・・ アルツハイマーを患い次第に症状が進む恐怖と家族のとまどいが、アリス本人の視点で描かれるのが新鮮です。 ジョギング中に道に迷ってしまい、その見慣れたはずの情景がゆがんで現れる場面など、自分もそんな状況に陥ったかのような錯覚におそわれます。 世界がこんな風に変わって行くのかという実感は、実際にアルツハイマー型認知症の母を毎日見ているアンクルには、とてもリアルに迫って来ました。 さらに、この病気は遺伝性が確実とも・・・ ということは、アンクルにもその可能性が十二分にあるのだ、とあらためて思い知らされました。 輝かしい学歴や職歴、誇らしい肩書、そして得た社会的地位・・・ それらが徐々にガラガラと崩れ落ちていく、その予見にアリスは恐れおののきます。 それゆえビデオレターを残し、もはやタダ以下に成り下がった自分を抹殺しようとさえするのです。 しかし症状が進行すれば、本人にとってはそんなことなどもうどうでもよくなります。 すべてがなくなっても、そこには本来の彼女が「アリスのままで」残っているのです。 云いかえれば、経歴や肩書、ましてや社会的地位など、そんなものは究極の個人にとって何の意味もないのでは?・・・ そんな風に感じました。 突き詰めれば、基本的にヒトは弱々しく、ただハダカで立ちすくんでいる存在にすぎないのです。 アンクルはおのれのライフスタイルとして、経歴や肩書や社会的地位などには目もくれず、ただハダカの自分をさらけ出して生きたい、と願い続けてきました。 現実には不可能に近いことかもしれないけれど、そう心がけたいと思うのです。 自我が崩壊して行くアリスとの関係と、自分の生き方とを天秤にかけざるを得ない家族たち・・・ そんな中で、常にアリスに反目し合っていた末娘が、彼女を最後までサポートしようと決断します。 あたかもリア王とコーディリアの関係を思わせるようです。 ジュリアン・ムーアの演技がさすがです。 「めぐりあう時間たち」のローラ・ブラウンにも感嘆しましたが、この作品でも自分からのメッセージに見入るシーンなど迫真の演技を見せます。 そして、反抗していた母を最期まで看取る覚悟を決める、末娘のクリステン・スチュワートの演技も心に残りました。
by anculucinema
| 2016-08-26 17:20
| 洋画
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